青森りんごの紹介

林檎に寄せる思いを詩に

りんごのあじ

静岡県 植田裕美(14歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

りんごが甘ずっぱいなんて
そんなのうそだよ
だってそれなら
みかんだって
パイナップルだって
甘ずっぱいっていうでしょ
りんごはみかんと同じあじじゃないよ
パイナップルとだってちがうもの
世界中から
味をあらわす言葉をいくつあつめたって
りんごのあじにはならないよ
りんごがたべたくなるのは
だからなんだね
りんごの味はりんごのあじだから

 
りんごのこえ

北海道 藤田佳那子(8歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

三時のおやつに
おかあさんが、アップルパイをやいてくれた。
りんごは、パイのおふとんでグーグーねてる。
あちっ あちちちとおきたよ。
だんだんぷくぷく太ってきたよ。
ちゃ色いふくにきがえたよ。
ホワーンと、心がまろやかになるあじ。
このりんごは、やさしいおかあさんかな。

かぜをひいた時、
おかあさんが、りんごをすってくれた。
りんごは、すべりだいでシャリシャリあそぶ。
ヒューボチャンとみずうみにおちたよ。
トロトロ体がとけてきたよ。
あれ、白いふくにきがえたよ。
ミルクみたいで、ぷつぷつ。
シャラシャラ、りんごの赤ちゃんかな。

 
忘れられないりんごの思い出

滋賀県 広部久美(23歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

その日私は、学校が終ると、いつも通り、父が入院している病院へと行きました。そして、病室のドアを開けると父は、ベットに腰かけて、手には大事そうに、 りんごを一個持っていました。私に気付くと、ニッコリ笑いそして、持っていたりんごを、私に差し出しました。この時、既に父は、病気のせいで、娘の私もわ からない程になっていましたが、この父の笑顔を見ると、私は本当に優しい気持ちになれました。父は、うれしそうにりんごを差し出します。やる、と言う事で す。でも、あまりにも大事そうにしているので、私は、そのままりんごを置いて帰りました。そして、容体が急変し、帰らぬ人となってしまったのはその日の夜 中でした。ベットの枕元には、昼間私に差し出した、真っ赤なりんごが一個、寂しそうに置かれていました。大事な物だからこそ、私にやる、と言ってくれたの でしょうか・・・。りんごを見ると、五年たった今でも、大好きな父を思い出します。

 
まわしりんご

愛知県 鈴木みゆき(37歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

埃っぽい部屋
試合に負けて、コーチに叱られ
「おまえら皆、辞めちまえ!」と言われた。
肩丸めて言葉少ない泥だらけの顔
暗い、疲れて怒った目
誰かが一つのりんごを投げた。
悔しい!と一口かじって隣にまわし、
全くだ!とシャクッと爽やかな音
甘ずっぱい金色の汁が虹になった。
りんごは三回まわってきた。
「誰が辞めるか」
そうだそうだと皆が言った。
笑い声が部屋いっぱいに満ちる頃、
太った赤いりんごは
一本の軸になった。

 
ムリしなくても・・・

神奈川県 関根千砂(32歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

私はリンゴを丸かじりするのがうまい。これ以上かじると種が見えてしまう、という、芯ギリギリ残して食べるのが絶妙にうまいのである。しかし、それにはハ タチ過ぎるまで満足にリンゴの皮がむけなかった、という情けない理由がある。私はひどく「ぶきっちょ」で、その上「太っちょ」でもあった。当然、いそいそ リンゴをむいて食べさせてあげるような彼氏がいるわけでもなく、母にむいて貰えば食べ終えるまでブツブツ言われる。それよりはカプリッと小気味良い音を立 ててかじりながら食べてゆく方がずっとおいしかったのである。ところが、私にもついに出会いというものが巡って来た。彼は言った。「リンゴの皮?別にいい よ。丸かじりするから。」「じゃ、お客さんが来たら?」「ミカンを出す。何もムリしなくてもいいじゃないか。」私は彼と結婚した。今では、ちゃんとリンゴ の皮がむける。(笑)

 
果実言葉

茨城県 廣木由加里(37歳)
青森りんご植栽120周年記念「りんごの詩・エッセイ集」から

花に花言葉があるように
りんごにも果実言葉があったら
どんなにいいでしょう
たとえばスターキングなら「輝いています」
千秋は「おだやかな時」
紅玉は「ルビーのため息」のように

アダムがイブに贈ったのは
「欲望」という名のりんご?
王妃が白雪姫を欺いたのは
「嫉妬」という名のりんご

そしてわたしはあの人へ
「会えてよかった」という
りんごを贈るでしょう
意思表示は許されないわたしだから
せめてあの人に感謝の気持を伝えたい

 
 
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