クリスマス文化とりんご

りんごを使ったクリスマスのテーブルアレンジ

クリスマス発祥の国ドイツで、ドイツ人が一番好きな果物は何だと思いますか?
正解は「りんご(der Apfel)」です!
ドイツの気候で育てやすいりんごは、1年間1人あたり256個、32キロも食べられています。単純計算で1週間で約5個です。

その内訳は、生食だけではなく、ジャムや焼き菓子やジュースなどもカウントされています。りんごは、安価で皮ごと食べることができ、保存性も高く加工もしやすいということで人気があります。
また、秋から冬へと寒くなってきてフルーツも少なくなってくる季節に、真っ赤に色づいて甘くジューシーに実ったりんごは、強い生命力の象徴とされてきました。
そういう理由から、数百年もの時を経た今でも寒い時期になると、りんごは様々に形を変えて人々のクリスマスとともにあります。

クリスマス飾りをしたかごに入ったりんご

ここ近年の有名なブームに目を向けると、中国では、クリスマスイブの12月24日になると若者の間で、りんごをプレゼントすることが流行しています。中国語でクリスマスイブは「平安夜」で、発音が似ている「蘋果」(りんご)を恋人や友人に贈る習慣が若者の間で定着しています。
12月に入りクリスマスイブが近付くと、美しい化粧箱に入ったりんごや、「平安」と刻印されたりんごが店にずらりと並び、高いものは1個数千円もします。中には、チョコレートでコーティングしたりんごをくり抜いた中に、キャンディーやクッキーなどのお菓子を詰めたクリスマスプレゼントもあります。

赤くて丸いりんごは、現代の若者たちのクリスマスプレゼントとしても可愛くて美味しいということで、SNS時代にもぴったりなのですね。これからもわかるように、中世から現代になっても、いつの時代もクリスマスシーズンになると、人々はりんごを飾り付けたツリーの元に集って、思い思いに特別なひとときを過ごしてきました。

クリスマスプレゼントとりんご
クリスマスピラミッド

りんごは、クリスマスツリーの原型ができた当時から伝統的なオーナメントとして、クリスマスを彩り、食され、演じられ、クリスマスとともに伝えられてきました。現在でも、りんごの出荷時期とクリスマス時期が重なることから、りんごはクリスマスにはかかせない果物です。
クリスマスの本場ヨーロッパ各国では、クリスマスマーケットにホット・アップルサイダーやりんごのお酒や、りんご飴やアップルパイなどのスイーツが並び、各家庭でもりんごを使ったクリスマス料理やケーキで祝います。

いやいや、赤くて丸い姿をしたりんごは、食するだけではもったいないですね。クリスマスを飾るインテリアとして、テーブルの飾りや、ツリーやリースの素材としても、りんごは大活躍してくれます。明るい色の少ない春までの季節、暗く寒い冬をあたたかく過ごす先人の知恵の詰まった果物なのです。
クリスマスもりんごも、少しずつ進化しながらこれからもわたしたちの秋から冬という美しい季節を飾っていくことでしょう。

監修

クリスマス研究家清春 旅と空想の美術館 館長清水 純子

クリスマス研究家 清春 旅と空想の美術館 館長 清水 純子