来年の運勢を占うクリスマスのりんご占い

りんご占い

世界各地の祭りや伝承をフィールドワークしていると必ず出会うのが「目に見えない存在」です。21世紀となった現代でも、妖精たちの存在や占いへの信仰は人々の生活の一部となっています。
そんな妖精の果物といえば、やはり「りんご」を思い浮かべます。妖精の棲んでいる妖精郷に実る豊穣の果実はりんごであり、アーサー王の眠る妖精郷「アヴァロン」も「りんごの国」という意味です。また、接ぎ木したりんごの木は妖精たちの領域であるとも云われています。

さて、そんな「目に見えないもの」に未来を託すのが「占い」ですね。世界中に様々な占いが信じられていますが、「クリスマス」と「りんご」のつながりの深い占いをご紹介します。
中欧チェコでは、クリスマスは一年で一番大切なお祭りなので、家族が一同に会し各家庭でお祝いします。キリスト教では、イエス・キリストが生まれたと云われている12月25日が最も大切な日なのですが、チェコの伝統によると12月24日のクリスマス・イブ(シュテドリー・デン)がクリスマスの中心となっており、古い風習が今もなお数多く残っています。
クリスマスはちょうど1年の終わりごろで、この1年の出来事を反省したり、来年がどうなるかということを予想したりするには良い時期だからなのでしょう。その風習の一つが「占い」です。

チェコではクリスマス・ディナーの後に、家族で「りんご占い」をする家庭が多いです。まずりんごを横に真ん中で二つに切って、芯のあたりの種の形を見て、来年の運勢を占うそうです。

種の形が五芒星のような形(いわゆる星型)に並んでいれば、翌年は家族みんなが健康に過ごせるという意味です。種の並ぶ形が五芒星じゃない場合、特に十字架の形になっていた場合は、同席中のだれかが健康をそこない病気になってしまうかもしれないという意味なので、来年は体に気をつけて過ごしましょう。

りんご占い

占い終わったりんごは、クリスマス・ディナーのデザートとしてみんなで賑やかに頬張るのも楽しみの一つですね。
このチェコの「クリスマスのりんご占い」は、日本のお正月の「初もうで」や、「おみくじ」を引く風習と似ているのかもしれません。国は違えど、家族の無病息災を願う優しい気持ちは万国共通なのですね。
今年のクリスマスは、ゲーム感覚の「りんご占い」で来年の健康を占ってみてはいかがでしょう。

監修

クリスマス研究家清春 旅と空想の美術館 館長清水 純子

クリスマス研究家 清春 旅と空想の美術館 館長 清水 純子