りんご栽培の一年
収穫までの流れ・年間スケジュール
皆さんがスーパーなどから買って食べている青森りんご。収穫されるのは主に秋ですが、りんご農家の仕事は一年中あります。それもほとんどが手作業で行われています。
作業内容
1月末~3月 整枝・せん定
冬、青森県では雪が降ります。特に、りんごをたくさん作っている「津軽地方」というところでは雪が多く、年によっては大人の背丈くらい雪が降ることもあります。
そんな中、行われるのが、秋に立派なりんごを収穫するための大事な作業「枝きり」です。整枝・せん定とも言います。
りんご樹は放っておくとどんどん枝が伸びます。そこで、樹の中まで日光が入るように、毎年よいりんごが実るように枝を切ります。この枝きり作業はりんご栽培の中でも最も難しい作業のため、たくさんの経験を積まなければならず、「千本の樹をせん定しなければ一人前になれない」とも言われています。
4月 肥料施用
ようやく雪が消えた頃に行うのが「肥料まき」です。人間がご飯を食べるのと同じように、りんごも栄養が必要です。そこで畑に肥料をまいて栄養を与えます。
このとき、栄養が少なすぎると畑がやせてしまい、逆に栄養を与えすぎてもいけません。そのため、土壌診断といって土の健康診断をして畑を管理しています。
4月~8月 薬剤散布
人間が風邪をひいたり病気になったりするように、りんごも病気になったり葉っぱや果実を虫に食べられてしまったりします。
そこで、りんごを病気や虫から守るために春から夏にかけて何回か薬かけ作業を行います。
薬の散布には国の厳しい基準があり、安全に正しく使っていますので、安心してくださいね。
5月~9月 草刈り
5月からは草刈りをします。りんご畑は、土が乾くのを防いだり、栄養のある土にするため草を生やしています。でも、草が伸びすぎてしまうとりんごの樹に必要な水分や栄養まで奪ってしまったり、虫が発生したりするので、9月までの間に4回~6回ほど草を刈ります。
草刈の機械には肩にかけるタイプや、この画像のような、ゴーカートのように乗るものなどがあります。
5月 授粉
りんごは、同じ品種の花粉がついても実になりません。ですから、他の品種の花粉をつけてやる必要があります。これを「授粉」といいます。
授粉作業は昔、一つ一つの花に人が手作業で花粉をつけていましたが、今はマメコバチというハチを利用することが多いです。
りんご畑には、カヤを使った巣が置かれていて、りんご農家さんたちはマメコバチを飼育しています。
6月~7月 摘果(実すぐり)
りんごは、一つの株に5つくらい花が咲き、実を付けます。これを全部そのまま育てると、それぞれのりんごの実への栄養が足りなくなってしまい、小さなりんごしかできません。樹の栄養が奪われて来年の花もできなくなってしまいます。
そこで、3~5株に一つだけ実をならせ、後は全部とってしまいます。これを「摘果」といいます。さらに、生育の良くないものや、ならせすぎの実などを全体のバランスを見ながら摘み取ります。
問題
一本に3000個の実がなっているとして、途中で摘み取られず秋の収穫まで樹に残っているのは何個くらい?
6月中旬~7月上旬 袋かけ
昔はりんごの実を虫の被害から守るために袋をかけていましたが、今は色をよくするためや、長期保存ができるりんごを作るために袋をかけています。これを「有袋栽培」といいます。
この栽培方法のおかげで、青森りんごが一年中美味しく食べられるのです。例えば、春~夏にスーパーに並んでいる「ふじ」は、みんな袋をかけて栽培されたものなんですよ。
9月 袋はぎ
9月ごろになると、袋をはぎます。はいだ直後のりんごは白っぽい色ですが、日光があたるとだんだんキレイに赤く色づきます。
8~10月 着色手入れ(葉つみ、玉まわし)
葉つみは、りんごの実に日影をつくる葉を2、3回に分けて摘み取る作業です。
玉まわしは、日光があたらず赤くなっていない部分をなくすために、実を回転させてまんべんなく色がつくようにする作業です。枝のせいで色がついていない部分があると、くるっと実を回して、日光をあてます。素人がやると回転させすぎてりんごを落としたりしてしまったり、なかなか難しい作業です。
このほかにもこまめに枝を切ったり(徒長枝整理)、りんごが大きくなって重さのせいで枝がたわみ折れたりするのを防ぐため、柱で枝を支えたり(支柱入れ、枝吊り)などの作業があります。
収穫 8月~11月
冬から大切に育てられたりんごは、ようやく収穫をむかえます。
一番早く収穫できる品種はお盆頃から収穫がはじまり、一番多く作られている「ふじ」を収穫する11月まで一家総出でりんごを収穫します。
りんごはとってもデリケートな果物なので、ぶつけて傷がつかないように一つ一つ丁寧に収穫します。
こうして、農家の愛情がたくさん詰まったりんごは、農協や市場に運ばれ、皆さんの住むスーパーなどに届けられます。
りんごの実となる花芽は、この頃にはもう枝についておる。
青森の厳しい寒さに耐えて、春にきれいな花を咲かせるんじゃな。