新しい品種はどうやって作られる?(品種改良)
交雑育種による品種改良
りんごの新しい品種を作り出すことを「品種改良」と言います。りんごの花のめしべ(母親)に、他の種類のりんごの花粉(父親)をつける「交雑育種」という方法で行います。
「こういう見た目や味がいいな」「収穫時期はこれくらいにしたいな」など、作りたいりんごのイメージを決めます。
イメージしたりんごに似ているりんごの品種を選び交配(めしべに花粉をつける)します。
交配してできたりんご(果実)から種を取り出します。
その種を植えて育てます。
木ごとに違う特徴をもったりんごがなります。
(例えば、1個のりんごから取った10粒の種をまいて育てると、10本の木にはそれぞれ特徴の違うりんごがなります。赤いりんごがなる木、黄色いりんごがなる木、味も甘かったり、酸っぱかったり色々です)
これらの中から、新品種として育てたいものを選んでいきます。
(りんごの見た目や味のほかにも、農家さんが栽培しやすいか、病気にかかりにくいかなど、色々な条件を考えて慎重に選んでいきます)
新品種が誕生
枝変わりによる品種改良
「品種改良」の方法には、ほかにも「枝変わり」を利用するものがあります。「枝変わり」というのは、突然変異のことです。例えば、1本のりんごの木があったとします。その木になるりんごはあまりキレイに赤く色づきません。ところが、突然、ある一部の枝になる実だけが真っ赤に色づくようになることがあります。
これは、この枝が他の枝とは違う特徴に変わったということ。これを「枝変わり」といいます。この「枝変わり」した部分の枝を増やして新しい品種を作ります。
みんなが大好きな「ふじ」。品種ができて初めのころ、味はとびきり美味しいのに、色がキレイにつかなくてあまり美味しそうに見えなかった。だからキレイに色が付く「ふじ」を作ろうと、「枝変わり」を利用して品種改良が盛んに行われたんじゃ。今、スーパーでよく見かけるキレイな色をした「ふじ」は、品種改良の結果誕生したもので、元々の「ふじ」の「枝変わり」が多いんじゃよ。
新しい品種になれるのは5,000 粒の種をまいても1つあるかないか。だから、たくさんの木を育てなければならず、とっても手間がかかる。それから、新品種を作るのにはとても長い時間がかかり、20年以上もかかるんじゃ。
例えば、青森県のりんご研究所で育成された「紅はつみ」という新品種は、平成30年に品種登録されたけれど、品種改良がはじまったのは平成4年。品種登録まで26年もかかっている。
だから、りんごの品種改良をするときは、20年後の気候、消費者(りんごを買って食べてくれる人たち)がその時どんなりんごの味や見た目を好むようになっているかまで考える必要があるんじゃな。